baby blue eyes

それは魂の革変の物語。

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天使と人のものがたり ep.11

【竜の娘】


青い闇の中、彼女は佇んでいた。
その足元には、淡く発光する花が咲いている。
その花を彼女は万感の思いで見つめていた。

はるか遠い昔、今ではあの頃の事を覚えている者も少なくなった。
幼い巫女は、闇に下る途中で砕けてしまった天使の魂をいくつも幾つも受け止めると、この闇の大地に埋めたのだ。
やがて、その魂の欠片はこうして色のない花になった。
以来、誰も訪れぬこの地でひっそりと花は咲き続けている。


彼女が振り返ると、銀髪の女性が音もなくこちらに歩み寄ってくる所だった。
滝のような銀の髪と、菫色の瞳。
かつて天使の花園で双子として生まれた二人は、長じるにつれてその色を異にしていった。
今では、この二人が並んでいても双子だったと気づく者はいないだろう。

目を閉じて、二人は額と額を合わせる。
言葉だけでは足りない、伝えきれない己の意思を、そうして双子の片割れに伝える。
やがて眼を開けて、二人は額を離した。
おそらく、こうするのもこれが最後だろう。
「本当は、もっと後の方がいいのかもしれないけれど…」
遠い目で語る彼女が、今だ幼さの残る二人の妹巫女を心配しているのは明らかだった。
けれど、時は来るのだ。
「今が、その時なのでしょう?
あなたが言いださなければ、私が言っていました」
銀の巫女の言葉に、蒼の巫女は微笑んだ。



(巫女だ! 巫女様だよ!)
(久し振り、ねぇ、ねぇ、遊んで!)
(聞いて聞いて、僕飛べるようになったんだ!)

口々に語りかけられるのに、巫女は微笑みで答えた。
ここは、遥かに世界樹ユグドラシルを見渡せる彼女の作りだした世界。
いつの頃からか、彼女は様々な種族の親とはぐれた子や拾った子たちを引き取ってここで育てるようになった。
大きくなって巣立った者もいるし、なぜかどんどん数を増やすちび達の世話に残る者もいる。
親も親で、友達でも作れと、ここに放り込むものすらいる。
おかげで、ドラゴン、ユニコーン、妖精……その他諸々の幼き者たちが常に集っている。
賑やかなのはいいけれど、ここを訪れるたびに彼女はつま先から頭の上まで彼らにたかられる羽目になる。
嬉しい悲鳴とは、このことだろう。

(お前たち、邪魔をしてはいけないよ。下がりなさい)
とたん、ちびっ子たちの不満の声が上がるが、彼に逆らう者はいなかった。
大樹のような身の丈の、双頭の竜。
片方の頭の鱗は鈍く赤く輝き、もう一方の頭の鱗は青く輝く。
(久しいの、我が巫女よ)
ドラゴンらしい、重々しい響きの言葉が彼女に伝わる。
(えぇ、あなたもお元気そうで良かったわ)
念話で竜に話しかけると、声なき声で彼は笑った。



ユグドラシルの右向こうに、大きな太陽が沈もうとしている。
ここはルシフェルの作りだした界とは違い、太陽と月の巡りがある。
より地球に近い世界なのだ。
なだらかな起伏を伴ってどこまでも見通せる草地は、夕日に照らされて赤く染まっていた。
彼女と竜の背後に、長い長い影が伸びる。
(そうか、ついにその時が来たか…)
(えぇ、この地のことをお願いいたします)
(安い用だ。いつまでも私が守り通そうぞ)

(だから)

(だから、必ず此処に還ってくるのだよ。お前を待つ者は多い)



(えぇ)

(えぇ、)

(必ず)




(人としても、降りるのだろう)
(はい)
(もう一人のあなたに、竜の力を遣わそう。
弱い人の子になっても、守りの力になろうぞ)
(有難うございます)
深々とお辞儀をする彼女に、竜は哄笑した。


これから彼女たちの為そうとすることは危険に満ちている。
そして気の遠くなるほどの時間がかかるだろう。
計画が成就しない可能性もあった。
彼女の魂が砕けてしまうかもしれない。
それでも、その運命から彼女は逃れようとも目を背けようとも思わなかった。
因果律として生まれた、それが彼女の定め。





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