baby blue eyes

それは魂の革変の物語。

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竜と勇者

えーと。
宿題で作成した物語です。
天使とお茶会 第五夜に似たような内容です。
結構苦労して書いたwものなので、折角なのでアップします。
タイトルどおり、竜と勇者のお話。
文が下手だとか、そういう突っ込みなしで……本人一番自覚してますw

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

それは、遠い遠い昔のものがたり。


「僕が勇者?!」
ユイはそう叫ぶと、大きな茶色の目をこぼれ落ちそうなほど大きく見開きました。

玉座にいる王様は、素っ頓狂なユイの声に重々しく頷きます。
「うむ、大神官が宣託を受け取ったのだ。遠き果ての島にある、大いなる樹、ユグドラシルを食い荒らすニドヘッグを倒す勇者は、ユイ、お前であると」
王様は、脇に控える従者を呼びます。
従者は剣を持ってきました。
大人の男の人でも手に余りそうなその剣は、無骨でとても強そうでした。
「世界を荒らしまわる邪悪な魔物を倒した剣だ。勇者よ、この剣を持っていきなさい」
ユイは、もうあまりの驚きに声さえ出ませんでした。



風がびゅうびゅうと吹き抜けていきます。
押し寄せる波は白く砕け、ユイは物珍しそうにその風景を眺めていました。
海を見たのは、生まれて初めてだったからです。
「あそこに見えるのが、果ての島よ。ユグドラシルも分かるでしょう?」
ユイの傍らから、澄んだ声がします。
彼の肩に、小さな妖精が止まっていました。
蜻蛉(カゲロウ)のような羽に、華奢な手足。
ユイの、旅のパートナーです。若き勇者は、妖精の言葉に頷きます。
「あぁ、本当に大きな樹だな。そのいただきを誰も見たことがないというのも納得だ」
ユグドラシルはとても大きな樹なので、途中から雲に隠れていました。
まるで山……いいえ、山よりももっと大きな樹なのです。

空は真っ赤に染まっていました。
太陽は、島とユグドラシルの向こうに沈もうとしています。
あたりは黄金色に染まり、空気そのものが色づいているようでした。
ユイは、懐から一枚の葉っぱを取り出します。
それは旅の途中に出会った魔法使いからもらったものでした。
瑞々しい、まるで先ほど取ったばかりのような鮮やかの緑色の葉っぱは、もう1年も前からそのままなのです。
その葉をそっと波間に漂わせると、見る間に大きくなり一艘の船が現われました。

「行こう、果ての島へ」

若き勇者はそう言いました。

太陽は沈み、空には三日月と星が光っています。
彼の肩の妖精…名前はフロラといいます…は、ぽつりと呟きました。
「長かったね」
勇者は、ただ頷きました。

旅に出たばかりのユイは、ある時妖精の里に迷い込みました。
そこで、外の世界を見てみたくてたまらない妖精フロラと出会いました。
その日から、二人は常に一緒です。
少年だったユイは剣を鍛え、今では誰もが認める屈強な戦士になりました。
そして、長く苦しい旅は、もうすぐ終わりを迎えるのです。

太陽が東の空から顔を出す頃、船は果ての島に辿り着きました。
そして、ユイは朝焼けの中で無数の光が舞い落ちてくるのを見ました。
光の一片(ひとひら)を手の中に捕まえてみると、それは銀色の花弁でした。
フロラが、眉をひそめます。
「ユグドラシルの花が散ってる……まだそんな時期じゃないのに」
「ニドヘッグが食い荒らしているからだよ」
ユイは、そう言いながら島の中心に聳え立つ大きな大きな樹を見据えました。
山ほどもある、いいえ、山よりも大きい樹は、無残な事にその幹を半分近く失っていました。


ニドヘッグは、大きな黒い竜でした。
ギラギラした赤い目は邪悪に光り、牙は鋭く、滴り落ちるよだれが大地を焼いていきます。
ユイは、背中の剣を抜きました。
負けるわけにいかない戦です。
彼は走り出すと、剣を、竜の鱗と鱗の間に突き立てました。

どれほど時間が経ったでしょう。
ユイの息は荒く、体は傷だらけで、ようやっと立っているような状態でした。
けれど竜は弱った様子がありません。
それどころか、ますます強くなったような気がします。
それでも、ユイは諦めようとはしませんでした。諦めようとは思いませんでした。
国のためではありません。
王様に言われたからでもありません。
聖なるユグドラシルが無残に食い荒らされているのを見たとき、ユイは誓ったのです。
何よりも、この樹のために戦うと。

重い剣を振り上げます。
攻撃を加えようと走り出した時、視界の端を何かがよぎりました。
それがなんなのか分かった時には、ユイは剣を失って倒れていました。
竜の尻尾に投げ飛ばされたのです。
そして………空中に飛んだ剣が己めがけて落ちてくるのが見えました。
避けなければ、そう思ったのに体は痺れて動きませんでした。
自分の剣に体を貫かれる、そう思った瞬間、小さな悲鳴が響きました。

フロラの体は、淡く光っていました。
その光が消える時、剣は粉々に砕けて散りました。
力なく地面に落ちた小さな妖精の体は、血で真っ赤でした。
「フロラ!!」
ユイが叫ぶと、フロラは力なく笑います。
「よく聞いてね」
その声は、今にも消え入りそうでした。
「ニドヘッグには、剣は効かない。刃物では、倒せない。
そういう魔物がいるって、聞いたことがある」
ユイはうめきました。
ここまで来て、自分は負けるんだろうか?殺されるんだろうか?
「剣が効かないときはね、言葉で倒すの。
でもね、死ねとか、消えろって言っても駄目よ。
そういう冷たい言葉では、剣と同じ」
それが、フロラの最期の言葉になりました。
まるで砂のように、妖精の体は解けて消えてしまいました。

呆然としていたユイは、竜の咆哮にハッとなりました。
世界を壊してしまいそうなほど吼える竜が、せまってきます。
その時になって、ユイは初めて気が付きました。
竜の胸の辺り、一枚だけ違う色の鱗があることに。
それは淡く桃色に輝いていました。
敵意に満ちた眼差しが自分を刺し貫くのを、冷静にユイは感じていました。
世界は、シンと静まり返ったように感じられました。
不思議なほどの心の静寂の中、ユイは呟きました。

「お前のその鱗は美しいね」

竜の、大きな口が迫ってくる。
鋭い牙が見えて、ユイは固く目をつぶりました。
もうダメだ…………!

どれほどの時間がたったでしょうか。
ぱたり、と降り注ぐものがありました。
雨?
恐る恐るユイが目を開けると……


見えたのは、竜の赤い目から流れ落ちる涙。

竜が、泣いていました。

桃色の鱗は、その輝きを増したようでした。
まるで夜明けのような優しい光が、少しずつ竜を取り巻いていきます。
その間も、竜は泣いていました。


ユグドラシルに咲く銀色の花弁が、音もなく降り注ぎます。
それはまるで、雪のようでした。
花弁は光り輝き、慰めるように竜の身体を包んでいきます。

次第に竜の身体はその輪郭がぼやけていきました。
完全に光に包まれる最後の瞬間、竜の目は笑ったように見えました。

聖なるユグドラシルを食い荒らすニドヘッグは、こうして退治されました。
勇者ユイは、けれど生まれ育った国に帰ることはありませんでした。
一生を、その果ての島で過ごしたのだそうです。

おしまい。

テーマ:こころ - ジャンル:心と身体

*** COMMENT ***

凄い!
VAKバランスいいし!
ベストセラー作家ですね(*^^*)

おへんじ

みささん

いやどうなんでしょうね、VAKはあんまり意識してなかった…
ただ、映像が思い浮かぶような描写は心がけたかもしれないけど。
書いてから、もっとほのぼのにすれば良かったと思いました(笑)

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